学級崩壊を危惧していた受け持ち教室の変化

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静岡県  S・Cさん(52歳、女性)

〔小学校の教室に花を〕

 私は、平成21年6月から光輪花クラブというお花の教室に通い始めました。私の教師生活もあと7年余りで、学校の教室に花をいけたいとの思いからでした。
 第1回目は2杯花をいけました。私がはじめに選んでいけた花はムクゲでした。その時に、花瓶の中で花をずれないように止めるには、枝をまっすぐに切ると良いと教えてもらいました。今までは、花を長持ちさせるために、枝や茎は斜めに切ることが当たり前だと思っていた私にとって、まさに、目からうろこが落ちる思いでした。2番目にガクアジサイをいけました。
 この日、一輪の花と向き合い、対話をするかのようにふれあい、一番きれいに見える向きにいけることの大切さも学びました。今まで花瓶に花をいける時は、全体のまとまりが良ければいいくらいに考えていたのですが、花一輪一輪に心をかけることは、素晴らしいと思いました。こうした花を家にいけることで、家庭の雰囲気も変わっていくと言われたので、楽しみにして帰りました。

〔教室の変化を願って〕

 そして、今まで花瓶のみ置いていた玄関に2番目に習ったガクアジサイをいけました。そして1番最初にいけたムクゲは、学校の教室にいけることにしました。
 というのは、今受け持っている3年生の教室は、とても元気がよく、給食は毎回残さず食べてくれ、返事の声もとても大きくて気持ちがよい子たちがほとんどです。しかし、中にとてもわがままな子がいて、自分が常に1番でないと、すぐにすねて、罵詈雑言(ばりぞうごん)を誰かれとなく浴びせかけたり、ものを蹴ったり、気に入らない子に暴力を振るったりしてとても困っていたのです。すぐ暴力を振るうので、たたかれるのが嫌で言いなりに動く子も4人くらいいて、学習中に席を離れ、仲間と一緒にさぼろうとしたり、大声で「勉強なんてしてやらん」と言ったり、このままでは学級崩壊してしまうのではないかと危惧していました。
 ほかにもぼうっとして声をかけなければノートや教科書を出せない子や自分ができないとすぐ泣く子もいて、別の授業を担当されている先生にも「いろんな子がいて本当に大変ですね」と言われていました。
 お花を飾ることで教室に何か変化があるかもしれないと楽しみにしながら、翌日の朝にムクゲをいけました。すると2日目に枯れてしまいました。きっと水あげができなかったからだと思い直して、次の日に家ではきれいに咲いているガクアジサイを持っていきました。しかし、それも水あげせずに、1日で枯れてしまいました。
 私は子どもたちに「花は生き物だから、水替えを忘れずにすると長持ちするから、頑張ってね」と言ってあったので、忘れずに水替えはしてくれていました。私は花を絶やしたくないと思い、その日のうちにスーパーで菊の花を買ってきて、いけなおしました。すると、私や子どもたちの思いが通じたのでしょうか、その花は、枯れずに2週間ほど咲いていたのです。

〔教室の雰囲気が変わる〕

 2回目の光輪花クラブの時、MOA美術文化財団(現:岡田茂吉美術文化財団)のインストラクターの方から「花をいけてみて、何か変わったことがあれば、何でもいいから話してください」と言われたので、教室にいけた花がすぐに枯れてしまったことを話しました。また、最近、教室の雰囲気がよい方向に変わってきたことも話しました。
 暴力的ですぐ席を立っていた子が、少しずつ授業に集中できるようになってきたのです。私の話も耳に入れてくれるようになりました。別の授業を担当されている先生からは、「子どもが落ち着いたね」と言ってもらうことができました。不思議なことに花を教室にいけるようになってから、教室の雰囲気が変わってきたように感じています。
 最近では、自主的に花を持ってきてくれる子もいます。花が、枯れるとすぐ片付ける子も出てきました。これからも花を絶やさないように心を込めていけたいと思います。
 私は感謝の気持ちを持って行動できる子どもに育てるために、相手を喜ばせ、気持ちよくさせる言葉で話そうと子どもたちに呼びかけています。具体的には、「ありがとう」がたくさん言える子になってほしいので、プリント類を配る時は必ず、「どうぞ」と相手に渡し、もらったら「ありがとう」を言うのです。「良い言葉をもっとたくさん使おう」と励ましていますが、友だちの良いところを見つける目はどの子にも育ってきています。
 帰る前のホームルームで、「かがやき発見」という時間を設け、その日に誰かにしてもらって嬉しかったことを発表するのですが、毎日必ず誰かの名前があがります。いわゆるいたずらっ子もいじめっ子も、よい所を必ず持っていますし、他人に見つけてもらうことで、喜びも大きくなります。学級のみんなに、少しずつ回りを気遣う優しい気持ちが育ってきました。

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