健康づくりを進める療院でのボランティア

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福井県  M・Sさん(32歳、女性)

〔自分でも浄化療法ができるようになりたい〕

 私は幼いころから体があまり丈夫ではありませんでした。20歳の時に病気を患ってからは、体がつらくて仕事を欠勤することもありました。仕事に行ったとしても、帰宅すればただ横になっていることが多く、仕事と生活を両立できない状態に、将来への不安がありました。
 そんな私を見兼ねた母や近所のMOA健康生活ネットワークのみなさんから、岡田式健康法浄化療法を受ける機会が増えました。受けていると気持ちよくて、よく寝てしまいます。普段の眠気とは少し違って、頭の回転がちょっとずつ鈍くなっていくような気がして、いつの間にか寝てしまう感じでした。しばらく受け続けていると、体調が少しずつ良くなっていきました。
 このころから“いつか自分でも浄化療法ができるようになれれば”と思い始めました。
 そのまま数年が経過した平成21年1月、「自分の体を自分の力で面倒をみることができるわよ」と母から勧められ、MOAに会員登録しました。
 登録費1万円は母が、年会費(家族会員)2000円を私が払い、入会講習を受けました。MOAの活動の願いや岡田式健康法についての説明を聞きましたが、2cmほどの細長いロケットは、施術する時には首にかけなくてはいけないということが印象に残りました。

〔療法士資格を取るきっかけとなったAさん〕

 浄化療法ができるようになり、自己施術はしていたのですが、すすんで誰かにしてあげようと思うことはありませんでした。母との施術は頼まれた時にするという感じでした。また、母に勧められて腰痛で悩んでいる知人に何度か施術したことがあるのですが、特にこれといった感想を聞くことはなく“人によっては効果がないのかな”と少し寂しく思うこともありました。こんな体験があってか、母以外の人に施術する気はありませんでした。
 初めて自分から施術しようと思ったのは平成21年12月でした。その日は2歳年上の友人のAさんと漫画喫茶で本を読んでいました。その時、Aさんは肩と首がすごく凝っていると言い、時々肩を押さえたり、首を回したりと、つらそうにしていたので、私は肩を施術してみました。20~30分経ったと思います。Aさんは「あっ、楽になった。ありがとう」と言い、“もう良くなったんだ”と思っていると、今度は「ここ(背中)もつらいから」と言われました。私は「ありがとう」と言われたことがすごく嬉しくて、背中を施術しました。しばらくすると、Aさんはそのまま寝てしまいました。
 MOAに入会後、母からは浄化療法の療法士資格を取得するように何度か勧められていました。入会すると施術はできるのですが、体の熱やコリ、圧痛を確認して施術箇所を定める「探査」は資格がないとできません。私は仕事や生活が忙しくて余裕がなかったこともあって先延ばしにしていましたが、このAさんへの施術がきっかけとなって療法士資格を取ろうと決めました。Aさんにもっと楽になってほしいので、“探査をして浄化療法を施術できるようになりたい”という思いでした。

〔興味をそそられた講座内容〕

 平成22年3月に療法士の資格取得講座を受けました。講座は2日間で、この日は私以外に3人の受講者がいました。全員女性で年齢も近かったので、連絡先を交換するほど仲良くなり、緊張もなく楽しみながら講座を受けることができました。
 講座内容は私にとって興味をそそられるものでした。哲学に興味があった私は、大学でも多少勉強をしていました。講座の中で、私たち人間が五感で感じることができるこの世界とは別に、目に見えない世界が存在し、両方の世界が相互に影響し合いながら発展・向上していて、この世界に存在するすべてのものが、霊と体の両者が密合した存在であると捉えている「霊主体従・霊体一致」という考え方を勉強しましたが、それはプラトンのイデア論を思い起こす内容でした。詳しい内容はもちろん違いますが、私は岡田先生の哲学と世界の哲学が共通する部分がほかにもあるのではないかと思い、機会があればもっと勉強してみたいと思いました。
 探査の仕方も教わりましたが、つらい箇所には熱やコリ、押すと痛む圧痛があるそうで、それが一致しているところを施術するのが浄化療法では大切だと聞いて、なるほどと思いました。ただ、探査箇所が多くて覚えるのが大変でした。首周りだけでも延髄部、後頸部、頸髄部などと細かく分かれており、境目がどこなのかをテキストで何度も確認するなど、覚えるまで時間がかかりました。

〔金沢療院で初めて療法士のボランティアをする〕

 講座の最後に行われた試験に無事合格し、療法士資格を取得することができました。
 その後、Aさんと話をする機会がありました。Aさんは、子ども相手のボランティアを始めて忙しくしているとのことで、その姿はとても輝いて見えました。“私も何か始めてみよう。いろんな世界を知ろう”と思い始めました。
 平成22年5月、一緒に講座を受けたMさんからメールが来ました。
 「金沢療院の療法士ボランティアに一緒に行きませんか?」。
 私はAさんに負けたくない一心でやってみることにしました。Aさんに対するライバル意識があったのかもしれません。また、輝いているAさんに追いつきたい、ボランティアをしている私を見てほしいなどと思いもありましたが、これをきっかけに貴重な学びをすることができました。
 6月、一緒に講座を受けた4人で金沢療院へ行きました。
 初めての療法士のボランティアでしたので、私は何回もボランティアをしている人と2人1組になって、患者さんに浄化療法を施術しました。
 この日は3人の方を担当しました。Mさんから、2回目からは1人で担当することになると聞いていたので、私は療法士さんと患者さんのやりとりを見て、浄化療法をするまではどういう流れで進めるのかということや、療法士さんの探査の仕方や施術する時間配分などを見て覚えました。
 翌7月はMさんと2人で金沢療院へ行きました。この日は1人で3人の方を担当しました。1回目とは違って、1人なので緊張しました。患者さんは全員初めて会う人ですし、その人が時間とお金をかけて来られ、私から浄化療法を受ける訳ですから、“結果を残さないといけない”というプレッシャーもありました。
 ですから、私は施術をする時、「楽になった。ありがとう」と言ってくれたAさんに施術した時のことを毎回、思い出しました。そうすると初めてお会いした患者さんでも以前からの知り合いのように思えたり、愛おしく感じることができました。“この患者さんにも生活や人生がある。少しでも体が楽になって、元気になってほしい”。そう思いながら施術をしました。

〔自分の幸せは、ほかの人の中にある〕

 探査にはまだ自信が持てていませんでしたが、患者さんがつらいと言う箇所には、だいたい熱があり、どこを施術すればよいかが分からないということはありませんでした。
 40~50分の浄化療法を終えると、患者さんから「楽になったわよ」「ありがとう。名前を控えさせてほしい」などと感想を聞きました。私自身はそこまで言っていただくほどのことをしたとは思っていなかったので、嬉しくて、とても幸せな気分で帰りました。今まで感じたことのないような充実感でした。
 心が満たされると、美しいものを本当に美しく感じることができます。帰り道の夕焼けを見てとても綺麗に感じる、ストレスが発散されて夜はぐっすり眠れる、家族に優しくなったり素直になれます。ボランティアをして返ってくる御礼の言葉には、想像している以上にパワーがあって、私自身を癒してくれる力があると感じました。
 私は基本的に土日が休みなので、その後も休みを利用して金沢療院に療法士のボランティアに行きました。8月はMOAのスタッフの方々と、9月は1人で行きました。また私の住んでいる地域では2ヶ月に1回、健康増進セミナーを開催していて、10月はMさんに誘われてボランティアをしました。
 ボランティアをして良かったです。患者さんが少しでも浄化療法を受けて、癒されて幸せになってくれれば、私も幸せな気持ちになります。自分の幸せが他人の中にあるとは思いもよりませんでした。
 私は趣味でスポーツクラブに通って、ヨガやエアロビをしていました。体力がつき、体も元気になっていくので楽しみながらできます。このように、自分の時間を自分のために使うと、ある程度は満足します。しかし、人のために時間を使うほどには満たされません。幸せとは人との関係から生まれるものであるということも知りました。
 これからも浄化療法の勉強を深めつつ、ボランティア活動を通して、たくさんの人の笑顔を見ていきたいと思います。

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