心身ともに健康な人・家庭・まちづくりに向けて

タグ:

埼玉県  Y・Tさん(65歳、女性)

〔心臓病を患っているWさんからの手紙〕

 平成19年から20年にかけて、私は、昔からの知り合いのWさん(80代、女性)から2通のお手紙をいただきました。
 その主な内容は、孫のNさん(30代、女性)の心身の健康状態に関するもので、「私はもう先が長くないので、娘と孫のことをよろしくお願いします」と綴られていました。そのころ、Wさんは心臓病を患い、娘夫婦と同居されていました。
 平成21年10月ごろ、私は、Wさんのお見舞いに行きました。Wさんの具合をうかがい、岡田式浄化療法を施術しました。Wさんは「身体が楽になった」と、とても喜んでくださいました。いろいろな会話を交わし、岡田式健康法を中心に統合医療を採り入れている東京療院の最近の状況についてもお話ししました。Wさんは感心しながら聴かれていました。
 そのあとで、娘のKさん(60代)から「長女のNは10年以上にわたって統合失調症に苦しんでいます」「症状がますますひどくなり、平成17年3月から部屋にナイフを持ち込むようになりました」「長女のことがとても心配で、それ以来、同じ部屋に寝るようにしています」「家庭の中も大変な状況です」と、初めて打ち明けられました。
 そのとき私は、”自分にできることは何でもしてあげたい””先ず光輪花クラブから始めたらどうだろうか”と思いました。
 平成22年1月、Wさんが亡くなられ、みなさんと一緒にお見送りしました。
 しばらくしてから、私は、お花を携えてKさんのお宅を訪問しました。先ず、Nさんの率直な思いを訊いてみました。すると、「家の中にも、どこにも、自分の居場所がない」「とても不安で仕方がない」という答えが返ってきました。その言葉に接し、”長い間、よほど深く悩んでこられたのだなあ”と感じました。
 そこで、私は”光輪花クラブを通してNさんのことを見つめてあげたい””Nさんに幸せになってほしい”家族の方々にも元気になっていただきたい”と思い、「一緒にお花を習ってみませんか?」と提案しました。KさんとNさんは同意し、その後、親子で光輪花クラブを受講されるようになりました。

〔「統合失調症」のNさんの変化〕

 光輪花クラブを受講し始めた当初、Nさんのお花のいけ方は平板な感じでした。左右のお花のバランスがとれず、”寄り添っていない”という印象を受けました。
 しかし、回数を重ねるうちに、次第に左右のお花が寄り添うようになり、Nさんの気持ちとお花が調和するようになってきました。Nさんはお花をいけることに少しずつ自信がついてきたようでした。
 光輪花クラブのあとで、私はNさんに浄化療法を施術しました。最初のころ、Nさんは肩が非常に凝っている状態でした。浄化療法を受ける中で、次第に肩が柔らかくなり、体が楽になるにつれて、心も軽くなるようで、少しずつ自分の気持ちを人に話せるように変わってこられました。
 Nさんは光輪花から始まり、浄化療法を受け、少しずつ症状が改善に向かっていかれました。その中で、私は、家庭の状況(父母、親子間の問題など)についてもうかがうことができました。
 Nさんが「統合失調症」になり、本人も家族の方々も本当に大変な状態でした。しかし、別の角度から見ると、それが”家庭が変わる大きなきっかけになったのではないか”と私は思っています。Nさんに接する中で、家族の一人一人、そして家庭全体のことを見つめていくように心がけました。
 このような状況の中で、Nさんは長年にわたる「統合失調症」から回復に向かい、浄化療法3級療法士のボランティアをしたり、食育セミナーのお手伝いをしたり、心身ともに健康なまちづくりに参加できるようになってきています。
 こうした改善の事実を同じような病気に苦しんでいる多くの人たち、その家族の方々にもお伝えし、”心身ともに良くなっていただきたい”と思っています。
 また、Kさんのご主人は長年にわたってMOAの活動に関心を示されなかったのですが、Nさんの変化を目の当たりにすることによって、平成23年8月、MOAに会員登録し、浄化療法を施術されるようになりました。ご自身も浄化療法を受けるようになり、私たちにも感謝の言葉をかけてくださいます。
 さらに、Nさんの1歳下の妹さんは長い間、アトピー性皮膚炎とぜんそくに苦しんできましたが、9月、東京療院で約1時間、K医師(内科・心療内科)の診察を受けました。妹さんは心の内をすべて吐き出し、食事や生活上の疑問点などに事細かくアドバイスをいただき、その後、生活習慣を改善し、日々、できるだけ歩くように心がけ、健康法を受ける中で、考え方や生き方も変わり、次第に回復に向ってこられています。

〔心身ともに健康なまちづくりに向けて〕

 私は精神疾患に苦しむKさんとNさん親子に寄り添う中で、心身ともに健康なまちづくりに向けて、MOA健康生活ネットワークのみなさんと具体的な行動を始めました。
 現在、高齢化(高齢社会)が加速度的に進む中で、全国の都道府県の中で埼玉県がトップを占め、県内ではT市が一番と言われています。”団塊の世代”の人たちが非常に多く、それが大きな要因になっているようです。とくに「団地に住む人たちの家庭の中で高齢化が進んでいる」と言われています。
 こうした課題に加えて、生活習慣病や精神疾患の増加と若年齢化など、県民や市民の心身の健康問題は深刻さを増しています。
 このような中で、平成23年8月からI市議会議員とネットワークの方々で浄化療法3級療法士の資格講座を学び、9月からは「健康日本21」や健康都市づくりに向かう話し合いを行っています。
 I市議の働きかけにより、平成24年4月、市長や教育長との懇談会を行いました。その中で、MOA美術文化財団(現在、公益財団法人岡田茂吉美術文化財団)の支部活動について報告し、東京療院や岡田式健康法、統合医療の紹介などをしました。
 8月中旬、市の保健センターにおいてセンター長、課長、保健士、グループ長の4名の方々との懇談の場をもちました。その中で、「健康日本21」推進計画に基づいたT市の健康問題の現状と課題について詳しくうかがいました。高齢化が進み、世代間の交流も少なくなり、若い母親(ヤングミセス)の人たちが子育てについて悩んでいることも知りました。そこに、”私たちが一緒にさせてもらえる課題があるのかなあ”と感じました。
 私たちからは、これまでMOAの推進してきた活動や東京療院の健康法についてお伝えし、今後行政からのご協力をいただきたい旨をお願いすると、「行事などがあるとき、保健士や栄養士もご協力します」と理解を示していただきました。
 9月、I市議とネットワークのみなさんと一緒に、東京療院の「滞在型健康プログラム」に参加しました。I市議は「岡田式健康法の3つをそろって体験し、心身ともにとても癒された」と喜ばれていました。その翌日、I市議は保健センター長に滞在型健康プログラムの体験と感想について話をされ、理解を深めていただきました。
 こうした中で、10月中旬、保健センターの保健士や東京療院の栄養士の方々のご協力をいただき、「食育セミナー」を開催し、30名の方々が参加して喜ばれました。
 10月下旬、国立障害者リハビリテーションセンターにおいて、MOA光輪花クラブの花展を開催しました。このセンターは、長年にわたってお花のいけこみを行い、毎月1回、患者さんや職員さんを対象に花サークルを実施している場所です。その方々による花展でした。その中のお一人で、小学校6年生のとき脳の手術を受けたあとで弱視になられた方は「お花によって心身ともに癒されています」「多くの人たちに花サークルを受講してほしい」と言われていました。
 平成25年3月には、保健センターの管理栄養士の方を講師にお招きして、味噌づくりを中心とする「食育セミナー」を開催し、35名の方々が参加されました。その中で、「味噌づくりを学べて良かった」「自然農法の野菜が美味しかった」「食生活のあり方を見直したい」などの声が寄せられました。
 これからも国の推進している”健康と長寿”の実現をめざし、心身ともに健康な人・家庭・まちづくりに向けて、微力ではありますが、I市議や行政の方々と一緒に、東京療院とネットワークのみなさんと協力しながら、歩みを進めていきたいと考えています。

あわせて読みたいコーナー

PAGETOP