一般社団法人日本統合医療学会 仁田 新一 名誉理事長

ケアを主とした医療への転換

── 統合医療は未来型医療の姿であるということですね。
 未来型医療ということでいえばもう一つ、今の医療現場では、医師や看護師などの人材不足が叫ばれていますが、これまで国家資格がないために医療チームに加われなかった伝統医療や代替医療に携わる人たちも、一緒に治療ができるようになることが必要だと考えています。
 学会の理事長を務めていた時に、そうした人たちに対して、看護学や生理学、臨床体験を含めた新たなカリキュラムを提供し、統合医療専門師または健康コーディネーターという資格を付与したい、最終的にはそれを国家資格にしたいと願ってきました。残念ながら在任中には実現しませんでしたが、きっと近い将来にはそうなると期待しています。

── それが実現すると医療現場が大きく変わってきますね。
 そうです。変化ということでは、医療費の高騰などを受けて予防医学への注目が集まっています。病気にならないということだけでなく、病気であっても進行を防止したり緩やかにして、国民医療費を抑えようと考えているからです。そこで大事になるのはキュア(治療)型からケア型の医療への転換です。
 医療現場で患者さんと触れ合う機会が多いのは看護師です。ですので、新たにケアを主とした看護教育を行うと共に、ケア型の看護体系を構築して看護に使った時間が診療点数に反映されるようなシステム、さらに将来的には、医師が病院を経営するのと同じように、看護師がケア型の医療施設を経営できるような制度も必要ではないかと考えています。実際に、各自治体で行われている地域包括ケアシステムでは、これに近いことが行われているのではないでしょうか。

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