鹿児島女子短期大学 福司山 エツ子 名誉教授

発酵食品と食物繊維の豊富な食材を食べる

──だしを利かせて具を多く、塩分をセーブしたみそ汁を食べることが大事だということですね。

 納豆も注目されています。納豆菌は乳酸菌が増えるのを手助けし、腸内の悪玉菌の増殖を抑える働きがあります。ナットウキナーゼという酵素には、血液をさらさらにして血栓を予防する成分が含まれています。 
 豊富に含まれるビタミンKは、タンパク質とカルシウムの接着剤として働き、骨粗しょう症の予防にも効果があります。ただし、血栓凝固防止薬「ワーファリン」を服用している人は作用を弱めますので、注意が必要です。
 ぬか漬けに使うぬかには、ビタミンやミネラルが豊富なので発酵させると酵母や乳酸菌が繁殖し、漬けた野菜にそれが移って生野菜よりも栄養価が高くなります。ぬか床を作る際に、半量のぬかをほうろくなどでいると風味が一層良くなります。
 腸内環境を整えるためには、排せつを促す効果のある食物繊維も大切です。みそ汁を具だくさんにすると言いましたが、葉物野菜だけでなく根菜類、特に体内から塩分の排出を促すカリウムと食物繊維を多く含んだ海藻類やサトイモ、サツマイモなどの芋類、カボチャなどの緑黄色野菜を具にすると良いと思います。

──発酵食品を生かした料理が腸内環境を整えるのですね。

 朝食に限らず、日本食は主食と一汁三菜が基本です。若い人は主食を抜いてしまいがちですが、主食であるご飯はエネルギー源ですので欠かさないようにしましょう。主食と一汁三菜であれば栄養価計算をしなくても理想的な栄養素を取ることができます。
 栄養素でいえば、無機質のカルシウムとリンのバランスも大事です。共に骨や歯をつくる成分ですが、リンの過剰摂取はカルシウムの吸収を阻止します。そのためカルシウムとリンの比率は1対1~3の食品が望ましいのです。
 このカルシウムとリンの比率が良い豆類は、骨や歯の正常な発達に理想的であるだけでなく、根菜類以上の食物繊維も含まれており、腸のぜん動運動を活発にしたり、腸内の善玉菌の餌になるといわれています。

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